これからカンボジアで起業しようと考えていませんか?
実は僕も過去にカンボジアの首都プノンペンで法人を設立したことがありましたが、カンボジアでのビジネスは難しかったです。
国として可能性は感じたものの、日本人がビジネスをやるべき場所ではないと判断し、途中で撤退。
現地視察なども含めると損失額はかなり大きかったですが、今でもその判断は正しかったと思っています。
海外のビジネスは日本以上にハードルが高く、日本ではあり得ないようなことも起こります。
今回はそうした体験をベースに、カンボジアで起業する際に注意すべきリスクについてあなたと共有したいと思います。
カンボジアで起業する際に注意すべきリスク
僕が実際に体験したカンボジアで起業する際に注意すべきリスクについて解説します。
リスク①:法律の変更
カンボジアで何よりも怖いのが法律です。
これから起業しようと思う人は法律について絶対にちゃんと調べてから起業するか、現地で本当に信頼できる人と会社を設立してください。
それでもトラブルになる可能性はゼロではありませんが、相当リスクを減らせると思います。
カンボジアの場合、法律の運用がかなり荒っぽいというか、急に変更になることがあるのでマジで怖いです。
例えば、僕が実際に経験したことですが、過去にカンボジアに「ビジネス(商用)ビザ」で入国した人に対して、
「当時ワークパーミット(労働許可証)を取得していない人は罰金ね!」
と、突然罰金を取られてしまったりすることがありました。
ワークパーミットは労働許可証です。
ビジネスビザと違って発行までのハードルはかなり高く、発行するためには現地で健康診断を受診するなどかなり面倒が手続きが必要です。
外国人労働者について労働許可証の発行を受けるためには、まず労働省に対し、事業所開設の申請を行っていること、前年に後述の従業員割当申請が行われていることが前提となる。
労働許可証の申請および従業員割当申請は、労働省ウェブサイト上のデータ管理システム”The Foreign Worker Centralize Management System(FWCMS)”においてなされることを要する(2016年8月17日電子化による外国人労働のデータの管理システムの実施に関する省令352号)。
ジェトロ
カンボジアに入国する際に必要なビザは、観光ビザもしくはビジネスビザになります。
僕が現地視察のためにカンボジアに何度も入出国している際、
「現地視察はビジネスに関することだし、観光ビザではなく、念のため「ビジネス(商用)ビザ」での方がいいよね!?」
と思って「ビジネス(商用)ビザ」で入出国していたのですが、法律が変更されて
「ビジネス(商用)ビザ」を取得したらワークパーミットを取得しろ!
と法律が変更になりました。
観光ビザで入国していれば何も問題なかったのですが、ビジネスビザで入国していたという理由で罰金。
全く意味がわかりません。
でも、これがカンボジアで起業するリスクの一つです。
まだ罰金で済んだからよかったものの、新興国が怖いのは法律の運用。
さじ加減一つで逮捕・投獄の可能性もゼロではありません。
カンボジアの刑務所での生活…。
想像するだけでも震えます。
カンボジアにおける労働許可制度について:https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/330052_3344270_misc.pdf
リスク②:現地の人の仕事が適当
カンボジアでの会社設立、ワークパーミットの取得、税金の報告と支払いは現地のとあるコンサルティング会社に委託していました。
それなりに実績のある会社だったのですが、仕事っぷりが適当でそこでも罰金を支払う羽目になりました。
詳しく解説をすると、法人を閉鎖するにあたり閉鎖手続きをお願いしていたのですが、商業省がシステムを抜本的に変更し、オンライン利用できるようにしようと改革がなされている時期とちょうど重なったのです。
そのため、商業省で法人閉鎖の手続きがストップ。
そういうしているうちに、コンサル会社の担当者は退職。
その際にコンサル会社の社内で引き継ぎがなされておらず、僕の法人閉鎖のリクエストはずーーーーーーっとストップされたままでした。
最終的にこちらからコンサル会社に連絡を取ることで手続きは再開。
「Sorry!!」と謝ってもらったものの、弊社手続きが遅れたという理由で政府の担当官から罰金命令がきました。
商業省とコンサル会社の都合で法人閉鎖が遅れたにもかかわらず、そのしわ寄せは自分に降りかかる事実に、怒りを通り越して、あきれるばかり。
カンボジアではそれなりに評価を受けているコンサル会社でも、実際はこんなものでした。
むしろ、
「政府とコンサル会社がタッグを組んで、カモになりそうな奴(特に日本人)からお金をふんだくってるんじゃない?」
とさえ思いました。
一連のプロセスには今でも不信感しかありません。
現地の人の仕事ぶりを期待するのはやめておきましょう。
少なくとも日本人と同等の気遣いやクオリティを求めるのはまだまだ酷だと思います。
リスク③:病気や怪我のリスク
カンボジアの衛生面は日本と比較にならないくらい悪いです。
水は綺麗ではありませんし、ローカルのレストランでは食あたりのリスクがあります。
野良犬もいますので、噛まれた場合は狂犬病が怖いですし、場所によっては蚊もブンブン飛んでいますので、デング熱にかかる可能性があります。
大通りに出るとルール無視で我が物顔のように車やバイクが走り回っていて、慣れていないと道を横断する際に事故に巻き込まれる可能性も非常に高いです。
とにかく、病気になるリスク、怪我を負うリスクがそこら中に溢れています。
結論から言うと、そのようなリスクは初めから覚悟の上で滞在しなくてはいけないのがカンボジアです。
ただ、悲しいかなカンボジアの医療レベルにはあまり期待できません。
何か大きな事故で大怪我をおってしまったり、原因不明の病気になった場合は近くの国(タイやベトナム)への輸送が現実的。
海外旅行保険に入っておかないととんでもないことになりますよ…。
カンボジアでの起業はハードルが高い
ただでさえ難しい起業。
それをカンボジアでするのはかなりハードルが高いことだと思います。
その理由について書きます。
理由①:現地の言葉がわからない
僕も経験しましたが、現地の言葉(クメール語)がわからないというのは本当に怖いです。
ある程度英語が浸透している国とはいえ、大切な書類は全てクメール語で書かれています。
たとえ現地の翻訳者や通訳の助けを借りたとしても、その内容が本当あっているのかどうか、正しく翻訳されているのかどうか、その確認を取れるすべはありません。
そんな状態で契約書や公的文書にサインをするのは怖すぎます。
もし、現地の人が結託して詐欺をしていたら…?
日本では考えられないようなことも起こり得るのがカンボジアです。
現地の言葉がわからないまま起業するのは本当に危険ですし、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
理由②:政府が腐敗している
新興国の場合は政治が腐敗していることが多く、法律を恣意的に利用されるリスクが高いのが怖いです。
公務員と政治家の汚職具合を測る腐敗認識指数(CPI)によると、2021年のカンボジアは180カ国中157位と、相当ランクが下です。
腐敗認識指数(ふはいにんしきしすう、英語: Corruption Perceptions Index, CPI)とは、トランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が1995年以来毎年公開しているもので、世界各地の公務員と政治家が、どの程度汚職していると認識できるか、その度合を国際比較し、国家別に順位付けしたものである。
Wikipedia
スコアは100点満点中、スコアは23点。(スコアが高いほどクリーンであるという意味。ちなみに日本は73点で18位です。)
カンボジアの行政は腐敗しているといってもいいでしょう。
行政で働く人全員がそうであるとは言い切れませんが、これまでの経験や周りの人の話を聞く限りは腐敗認識指数(CPI)の信頼度は相当高いと感じます。
このような環境の中、起業してビジネスをたちあげ、人を雇用し、利益を上げ、税金を収め続けて行く。
しかも、現地の言葉はわからないとなると、かなり大変です。。。
インターネット上の記事の情報を真に受けちゃダメ!
インターネットを見ていると、カンボジアでの起業を進めるような意図の記事を見つけることがあります。
ですが、その記事を書いている人は果たして本気でそう思っているのでしょうか?
僕は実際に相当な金額を投資してカンボジアで起業しました。
その上で、カンボジアでの起業は「相当リスクが高く、安易にお勧めできるものではない」という結論に至りました。
考え方は人それぞれです。
僕のように起業を諦める人間が多いからこそ、そこにチャンスがある、という見方もできなくはないですから。
ただ、インターネット上には往々にして自分の経験がないことを煽って書く人もゼロではありません。
最終的に全ての責任とリスクを引き受けるのは「あなた」です。
本気で起業を目指すのであれば、インターネット上の記事を真に受けるのではなく、慎重に考えて決断するようにしましょう。
まとめ
今回の記事ではカンボジアで起業する際に注意すべきリスクについて書きました。
かなりネガティブな情報となりましたが、新興国での起業はそれだけハードルが高いということ。
「それでも俺はやる!」
という人は止めません。
なぜなら、僕もそうだったからです。
起業を目指す人間はある意味クレイジーであるべきだと思っていますし、リスクをとってこそのリターンですから。
是非色んなことに気をつけながら、頑張ってほしいと思います。
成功を祈ります。