最近「意識高い系」という言葉をよく聞きますが、みなさんはこの「意識高い系」という言葉の意味はご存知でしょうか?
「意識が高い」であれば下記のようなポジティブなイメージになります。
いしきがたかい【意識が高い】
ある事柄に対して強く意識している。ある理念をよく理解している。 「環境問題に関して-・い」
しかし、「意識高い”系”」となると意味は大きく変わるようです。
“意識高い系”とは、元々はネットスラングで、インターネットで自分の経歴や人脈を過剰演出し、パッと見はスゴい人のように思えるのですが、実際の経歴や活動は大したことない人々のことを差します。
詳しくは下記のまとめに掲載されていますが、「意識高い系」という言葉はネガティブな意味で使われているのが大きな特徴です。一度読んでみましょう。
世に溢れる【意識高い系】がなかなか痛い – NAVER まとめ
また、余談にはなりますが、ツイッター上では『意識高い大学生Bot』なるアカウントも存在し、非常に”イタい”つぶやきを提供しています。
『まずは3年働いたら起業するわ。事業内容はまだ決める必要もない。』 #意識高い
— 意識の高い大学生bot (@HighGakusei_bot) 2015, 1月 19
『今週どギツイな…お前に休む暇なんかないってことか。面白い。やってやろうじゃん。』 #意識高い
— 意識の高い大学生bot (@HighGakusei_bot) 2015, 1月 17
読めば読むほど非常に”イタい”ですね。
僕が思う意識高い系
このように「意識が高い」と「意識が高い系」との間には明確な差が存在します。これらの情報から僕なりに考えてみたところ、「意識高い系」と言われている人たちを下記のように定義することができました。
- 睡眠時間が少ないことをアピールする人
- 人脈が多いことをアピールする人
- いつかは起業する「予定」であることをアピールする人
いずれにしても、「自分のことを外の世界に向かってアピールする」というところが共通するポイントです。
では、なぜ「意識高い系」と言われている人たちは”イタい”と思われながらもこのような行動(アピール)をするのでしょうか?
それぞれの定義に沿って少し見ていきたいと思います。
①睡眠時間が少ないアピール
「意識高い系」の人たちは睡眠時間が少ないことをアピールするようです。どうやら「睡眠時間が少ない=活動時間が長い=偉い」という価値観があるようですね。あの”地獄のミサワ”でもあるように
- 昨日は2時間しか寝ていない
- 仕事が立て込んで寝たのが朝方だ
- 最近寝る暇がなくって(笑)
というセリフが「意識高い系」の人の特徴です。しかも、睡眠時間がないことを苦にしているというよりは、むしろカッコいいと思っている節があります。おそらく、その根底には「睡眠時間を削って頑張っている自分=人よりも長く活動している=偉い」という思考があるのでしょう。
しかし、僕の経験上、仕事をする上においては睡眠時間を削っても何もいいことはありません。
まず集中力が著しく低下する。そんな中で活動をしても。果たしてレベルの高いアウトプットが期待できるかは疑問です。せっかく労働時間を長くしても、そこから生まれるアウトプットの質が低下しては意味がありません。
また、睡眠時間が短くなると疲労が蓄積し免疫力が落ちてしまいます。20代のような若い頃なら多少の無理もききますが、30歳を迎えた今となっては常にフル回転というわけにもいきません。睡眠時間を短くした結果、風邪をひいて休んでしまうことになった、ということになっては本末転倒ですからね。
そもそも、睡眠時間が短くなるということはそこに明確な原因が存在します。
考えられる原因は
- 活動量が自分のキャパシティを超えている
- タイムマネジメントが適切にできていない
- 突発的な事象により活動量が増えてしまった
の三つです。
3に関しては不可抗力であるのですが、「意識高い系」に分類される人の多くが1と2の理由によって睡眠時間が少なくなっているように見えます。そのような場合、睡眠時間が少ないことをアピールしたとしても、それは決して褒められたものではなく、決して評価があがるものではありません。
例えば、外資系企業では「どれだけ長く会社にいたのか」という部分は全く考慮されず、「どれだけ優れたアウトプット(成果)を生み出した」かが評価されます。これは営業職でも同じことがいえるでしょう。思い当たるふしのある人は、自身の努力が間違った方向に行っていないか改めて気をつけたほうがいいでしょう。
②人脈が多いことアピール
ベンチャー企業の社長と知り合いだ、知り合いが起業した、知り合いが官僚になったなど、やたらと自分の周囲にいる人が「すごい!」とアピールするのが「意識高い系」と呼ばれている人の特徴です。このようなアピールをするということは、「すごい人の知り合いが多い=そんな人と知り合いになれる自分はすごい」という思考があるためです。
しかし、残念ながら知り合いを自慢するような人がすごいということは滅多にありません。僕自身、以前の職場などで
「知り合いが◯◯に勤めています!」
「◯◯に勤めている知り合いに聞いてみましょうか?」
「知り合いが◯◯をやっているので今度紹介しますよ(笑)」
と常に知り合いをアピールする人たちに出会ったことがあるのですが、そういう人たちは往々にしてあまり仕事ができなかったように思います。また、”知り合い”の紹介を約束してもらったのですが、結局そのご自慢の”知り合い”には最後まで会える機会はありませんでした。
そもそも、知り合いがすごいからなんだというのでしょうか?他人は他人であるし、自分は自分です。おそらく、このようなアピールをする背景には自分自身の学歴や経歴に大きなコンプレックスを持っていることが考えられます。知り合い自慢は大いに結構なのですが、度がすぎると周囲から滑稽にうつるので注意したほうがいいですね。
③いつかは起業するアピール
「意識高い系」の人は、いつかは起業してやるという野心に満ち溢れている場合が多い。このような人たちからよく聞くセリフは以下の通り。
- 来年起業する予定です!
- ぼくが世の中を変えてみせますよ!
- 一生社畜なんてまっぴらごめんですね(笑)
非常に頼もしいセリフです。
しかし、実際に起業する人などほとんどいないのが現状です。なぜなら、「意識高い系」と言われている人の大半は「起業=社長になる=カッコいい」と思考する傾向があり、そのようなセリフを言っている「自分」および「その状態」が好きなのです。
お金さえあれば誰でも起業することはできます。しかし、本当に大切なことは「それを維持して行くこと」です。そのためには”カッコ悪い”ことや、辛く厳しいことを経験することなんて日常茶飯事です。カッコいいという憧れは否定しませんが、それだけで起業すると後々苦労するということを忘れてはいけません。
まとめ
こうしてみると、「意識高い系」といわれる人たちは「他人から認められたい」という強い承認欲求を持ってしまった人たちなのかもしれません。その結果、その満たされない欲求を「外の世界」で発散させようとしているのでしょう。
ちなみに、僕が大学生〜新入社員だったころというのはTwitterやFacebookのようなSNSはまだ存在していませんでした。(Mixiが一大ブームになる前のネットの世界です)もちろんスマホなんてものはまだ存在しない時代。そのため、自分自身の活動やプロフィールを世の中にアピールすることは非常に難しかったです。
しかし今は違います。スマホが広く一般に普及し、ネット上には様々なSNSが存在しています。”自分自身”を瞬時に手軽に世界中にアピールできるようになりました。そういった意味では、「意識高い系」と言われる人たちは元々潜在的に一定数存在していたが、インフラの発達とともに顕在化しただけ』なのかもしれません。
いずれにしても、世間から”イタい”と思われてしまう「意識高い系」の人たちではありますが、その思考を一つ変えるだけで本当の「意識が高い」人たちになることが可能だと僕は思っています。
それは、
「目的」と「手段」を履き違えない
ということです。
冒頭にも述べた通り、そもそも「意識が高い」ということは悪いことではありません。それに「系」が付いて「意識高い”系”」となってしまうことが問題なのです。
人生には「目的」が存在し、僕たちはそれに向かって日々行動をしている。「意識が高い」ということはその「目的」を達成するための一つの「手段」にしか過ぎません。にもかかわらず、「意識高い系」の人たちはそこを「目的」としているのです。
「睡眠時間が短い」
「人脈が多い」
「起業を予定している」
にしても、本来であればその上には大きな「目的」が存在し、それらはただの「手段」にしか過ぎません。
つまり、結論を言えば「意識高い系」と言われている人たちは、本来であれば「手段」であるはずのものを「目的」としているです。
最後に
「意識高い系」と言われている人たち。彼らは非常に繊細で脆く、自分の中で確固たるものを探しているのです。その結果、深く思考することもなく安易に「手段」を「目的」化する。彼らにとって必要なのは、「睡眠時間を削る」ことでもなければ、「人脈を増やす」ことでもありません。
自分自身と真剣に向き合い、人生の「目的」について本気で考えることなのです。
そうすれば、「意識高い系」から本物の「意識が高い人」になれる日が来ると僕は考えています。

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